海の底、森の奥

EXO、東方神起に関する小説など書いています。
お友達を作れたりしたらなあと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

束の間から 番外編 【モーション・エモーション】

本番直前。

控え室からぞろぞろ出て行くメンバーの最後尾に、俺とチャニョルはいた。

肩をとんとん、と叩かれる。

振り返ると、ドアの影にチャニョルがいる。

手をちょいちょい、と俺に向かって振っている。

?と思い、控え室の中に戻る。

扉の後ろのチャニョルを見上げる。

「どうした?」

俺は色の滲んだ瞼を上げ、紫のカラーコンタクトが目の上で動くのを感じた。

そんな俺を見下ろしていた、チャニョルの顔が消えた。

正確に言えば、俺の目がチャニョルの顔に、焦点を結べなくなった。近過ぎて。

唇を食むように、チャニョルはキスを、俺にした。

そしてすぐ、顔を上げた。

俺は唇を手の甲で隠し、残る一方の手でチャニョルの腹を殴る。

「…なにしてんだよっ」

小声で言いながら、怒りと照れで俺は顔に血が昇る。

「我慢できなくて」

てへ、と言うようにゆるい笑いを口の端に浮かべ、チャニョルは呟く。

俺はますますかーっとなる。歯を食いしばるようにして、ドアをばっと開く。

「ほらっ行くぞ!!来い!!」

チャニョルはすごすごと俺の先にドアを出る。

俺の前を行くその尻に、ばしんと俺は蹴りをかます。

そしてドアを閉め、皆のあとに続いた。

ジョンデが俺の顔を、マイクを調節しながら見る。

「どうした?顔赤いぞ?」

唇を拭いながら、俺は言う。

「……なんでもない」

馬鹿でかいあののーたりんは、逆光の中、シルエットで頭のみ、俺の目に映った。

……尻をさすっているようだった。




おわり

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