海の底、森の奥

EXO、東方神起に関する小説など書いています。
お友達を作れたりしたらなあと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

心中の道連れ 9

もう駄目だ。

ソファに座って、俺は台本を読んでいた。しかし襲いかかってくる眠気は、すでに俺から正気を取り去りかけていた。

字が泳いでどこかに行く。

ずるずると体が滑って横になってしまう。

眠い…。

眠い……。

ぞり。

びくっと、体を震わせ目を開く。

指と、人の顔。

「また寝てんのかよ」

ふはは、と緩く笑って、ベッキョンは手を離した。

眉毛をこすりながら、俺は瞬く。ベッキョンの指先の感触で、目の上がむずむずした。

横になったまま、俺を覗き込む男の顔を見上げ、「おかえり」と呟く。

「ただいま」

深夜の街の気配。

食事と煙草の匂い。

「……飯行ってたの?」

「うん、ちょっと飲んできたー」

俺の尻の後ろにぼすっと、ベッキョンは座った。

「あーねみー」

ずずずず、という音がする。

そして腰あたりに重さを感じた。

「…酔ったなー、ちょっと」

俺の尻の上に体を乗せて、ベッキョンはもよもよと口の中で言った。

瞼にかかっていた眠りの誘いが、目の奥へと消えていく。

手のぬくみを、脚の付け根に近いところで感じる。

肩から腕にかけて、体が強張っていった。

「……重い」

がらがらした声を、絞るように出す。

熱と熱が溶け合って、体がなにか別のものになったかのようだった。

釜の中の、ピザの上の、チーズとか、そういうもの。

空腹な気もした。

夜食を食べたのは、そんなに前のことではなかった。

自分の知らぬ異世界の香りをまとい、体をくっつけて来る相手は、ただそのまま黙って俺にもたれているだけだ。

俺はクッションをきゅ、と握った。

「……部屋で寝ろよ。風邪引く」

んん、と喉を鳴らしたあと、声が返ってくる。

「……お前に言われたくないなあ」

口から漏れる息が、俺のスウェットを濡らすように温める。

「………俺のこと待ってたんでしょ?」

夢の中の言葉かと。

……聞き間違いかと、思った。

しばらくの沈黙が、夜を流れた。

「…なんでお前を待つんだよ」

俺は口以外をいっさい動かさなかった。

相変わらずクッションを握り締めて。

「…そうかなって」

ぼわぼわと声が脚を伝わってくる。

ベッキョンが俺のパンツを握っている。俺と同じように。

全身に熱が回った。汗をかきそうだった。

「………そうだよ」

やはり夢なのかもしれない。

自分の声が、空気の中に泡となったのを、見た。

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