海の底、森の奥

EXO、東方神起に関する小説など書いています。
お友達を作れたりしたらなあと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

心中の道連れ 12

石鹸の香りが、鼻をくすぐった。

髪が湿ったままのギョンスをこんなにじっくり見るのは、久しぶりのようだった。

匂い立つようなというのはこういうことか、とどこか不思議と落ち着いて俺は思った。

そしてそれとは裏腹に、心臓が肋骨を折ろうと試みていた。

朝立ちが収まっていないこと、パジャマだとそれが視認できてしまうことが分かっていた。

夢。

変な、と形容したが、それは正しくないかもしれない。

でも、ギョンスも同じだと、言った。

なにが同じなんだろう。

どう、変だったんだろう。

……今の状況だって、きっと、負けず劣らず変なはずだ。

だって、なんで俺たちはキッチンに突っ立って、ふたりでただお互いを見合ってるんだろう。

片方はパンツ一丁、片方はパジャマ。

俺の目の前に立つ、ギョンス本人が気にしている肩の華奢さは、歳を重ねてもまだ失われていない。首から肩のなだらかな線は、画家が繊細にキャンバスに描き出したそれのようだ。

……そこから下に視線を動かすのには、ためらいがあった。

まじまじと見つめたことは、なかったから。

なのに、目と手は意思と関係なく、もう動いていた。

俺はギョンスの乳首のかたちと色を覚え、二の腕の体温を確かめた。

触れた体はかすかにぴくりとした。

「……冷て」

ひんやりした肌は、体温の高い俺の掌の下にある。

勝手に言葉も口から出てくる。

「……服、着ないと」

掴んだ腕に力を込める。自分の熱を分けたかった。本当は、服でなく。その方がずっと理にかなっている。

……理にかなってる?

その考え方にふっと笑いをこぼしてしまう。

笑顔の俺を見て、ギョンスは困ったように眉を下げる。

「…なに笑ってんだよ」

片方の唇の端だけ上がる。

「………合理的ってなんだろうって」

笑いを挟みながら俺は答える。吸い付くようなギョンスの肌から、手が離せない。

「……掴まれてたら服着れないだろ」

ギョンスはシンクを向き、俺に対して体の側面を見せる。でも俺の手はそのままだ。

「……そうだな」

そう言いながら、俺はギョンスの腕を指先で伝って、掌を取った。

そしてソファに向かい、手を引いて連れてきた相手を背中を押して座らせる。

ギョンスの手にあったタオルを取り、髪をごしごし拭いてやる。

突っ張ったあたりが見えぬよう頭を傾けさせ、ごしごしごしごし拭きつつ、言った。

「服着たら、ドライヤーしてやる」

頭を俺に預けたギョンスは、なにも言わない。

背骨を見下ろし、もろもろが隠される前の少しの間に、記憶を作るのに、勤しんだ。

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