海の底、森の奥

EXO、東方神起に関する小説など書いています。
お友達を作れたりしたらなあと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

心中の道連れ 13

髪の毛の間に、細い指が入り込む感触を覚えている。

温風とともに俺の頭をベッキョンの手が撫でていた。

今、自分でしているのとはまったく違う行為だった。少なくとも俺にとっては。していることは同じなのに。

目を閉じた俺はベッキョンの手に完全に首から上を任せていた。

服は着たと言ってもタンクトップとゆるいスウェットのパンツのみで、晒した肩にたまにベッキョンの腕や肘がぶつかった。

ドライヤーをかけている間、珍しくベッキョンはなにも言わなかった。ひとことも。

暗闇の中で、ドライヤーの轟音のすきまからその通る声を聴きたいような気がした。

沈黙がやけに意味を持っているようだった。

快さと緊張から、俺はなにげなく下げたまぶたを、再び上げることはできなかった。

吹き掛けられる熱ではない温かみが、内から湧いてくるのがはっきり分かった。心臓がどくどくと打っていたから。

口を半開きにして髪が乾くのをただ待った。

待っている間、やはりベッキョンはなにも言葉を紡がなかった。

かちり。

鏡の中の自分と相対すると、同様にスイッチを切ったベッキョンが、ようやく口にした、

「はい、おわり」

という呟きを思い出し、俺は唇を引き結ぶ。

なにを期待してたんだ?

おわり。

そう、終わった。夢からそこで覚めたのだ。

俺も、ベッキョンも、そのあとお互いの顔を見なかった。

それが今日まで、気のせいでなければずっと、続いている。

あのとき、俺はなにか間違ったのだろうか。

俺の期待をベッキョンが悟った?

かっと、頬に血がのぼる。

期待?

期待なんてしていたつもりはなかった。

たとえ腕を掴まれ、手を取られ、タンクトップを着せられ、髪を乾かされても、それ以外のことを望んでいる気はなかった。

ベッキョンのほんの少しの世話焼きを、どうして俺が過大に捉える?

いつだってあいつはそんなふうなんだ。

勝手にちょっかいを出して、勝手に離れていく。

からかい、笑い、甘やかす。

俺に触れることも、俺が触れることも、なんとも思わない。

いつものことだ。

……目が合わず、顔も見てこないと感じるのは、きっと俺の考え過ぎだ。

俺だけが………。

ドライヤーのコードをくるくると巻きながら、俺はベッドを恋しく思う。

早く寝よう。

夢の中では、こんな思いはしない、はずだ。

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。