海の底、森の奥

EXO、東方神起に関する小説など書いています。
お友達を作れたりしたらなあと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

心中の道連れ 15

打ち合わせが終わり、俺、ジョンイン、ジュンミョン兄さん、そしてベッキョン、 は、マネージャーの都合でそのまま話し合いを行っていた部屋に待たされていた。

出された菓子を、ジョンインはもぐもぐ食べていた。つまむぐらいではあったが、ベッキョンも。

並んだふたりは、これ結構美味しい、と、最近出たばかりのグミの菓子を口に含みながら、ぼそぼそ話している。

一列に並んだ俺たちは、端に俺とベッキョンが座る格好だった。

最近ずっと変わらず、こうだ。

隣合わせに座ったりすることなど、まず、ない。

俺は携帯の液晶を眺めながらも、なにも目に入っていなかった。

打ち合わせ相手の中にいたひとりのことを、ジョンインとベッキョンがさっきこっそり、笑いながら「可愛い」と言い合っていたのを、聞いていた。

当然ながらジュンミョン兄さんも耳に入れ、困ったように、しかしおかしそうに笑って、

「おいおい、気を付けろ。これから会うとき態度に出すなよ、分かりやすく」

とたしなめる。

「また会えんのかな?」

期待のこもった声でジョンインが言う。

「たぶん、撮影のときもいるだろ」

兄さんがジョンインの肩をぽんぽんと音を立てて叩く。

「やりー」

「ちょっと年上だろ?」

「んー、気になんないな。兄さんなんの?」

「ちょっとな」

「めんどくせー男だな」

「おまっ、おい、分かった風な口きくな」

ベッキョンは笑うだけで、ふたりの会話に口を挟まなかった。

俺は横を向いたらベッキョンが目に入るのが恐ろしくて、残された瞬間からずっと、携帯だけを見つめていた。女性の話も、グミの話も、俺には関係なかった。……関係、させてくれないのだから。

「遅いな、マネージャー」

「腹減ったなー」

「うん、減った。メシどうすんだろ」

こういうとき、前なら、“ギョンス、お前なんか食べたいもんある?”とベッキョンは続けて尋ねてきた。

喉が、ぐっと詰まる。

「午後からすぐ練習だろ?そんな時間取れないだろーなあ」

兄さんが椅子に寄りかかって、大きく嘆息する。

勢いのいい足音がしたかと思うと、がちゃっと派手にドアが開いた。

マネージャーが顔だけ出して、「おい、行くぞ」と声を掛けてくる。

「うーい」

がたがたと席を立って部屋を出ようとする俺たちに、マネージャーが機嫌よさそうに言う。

「今日全然他のやつら終わんなそうだから、練習は夜まで持ち越しなー。もしくは中止。よかったなー、ちょっとのんびりできるぞ」

いえーい、とジョンインと兄さんが歓声を上げる。いそいそと皆でマネージャーの後を追いかけた。

話し合って歩みの遅くなったふたりのせいで、必然的に俺とベッキョンの距離が縮まり、お互い前だけを見て歩いた。

しばらく黙々と足を進めた。廊下。エレベーターが近付いてくる。

「……よかったなあ」

囁くように、俺にしか聞こえない声で、ベッキョンが言った。

俺は驚いた。そして声の主を見た。

ベッキョンは俺を一瞥して口元だけで微笑み、また、視線を戻した。

「………うん」

遅い返事ではあったが、なんとか音を喉から出した。

言葉を交わしたことがこんなに嬉しいなんて、想像もしていなかった。

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